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有元美津世のGet Global!

日本語人材需要が高まるベトナム(3)2024.03.26

 

前回、東南アジアでは、海外に一番留学生を送り出しているのがベトナムで、それも日本がトップの留学先であることを書きました。もちろん、皆さんも、日本国内で増えているのがベトナム人留学生だけではないことは知っているでしょう。

 

増えるベトナム人在留者

 

在留外国人総数は、昨年末時点で、過去最高の340万人に達しました。国籍別では、昨年6月末時点で、中国(79万人)に次いで多いのがベトナム(52万人)です。2020年から韓国を抜き、今では在留外国人の16%を占めています。  

在留資格別では、中国人で一番多いのは「永住者」(32万人)、次いで「留学」(12万人)なのですが、ベトナム人の場合、一番多いのが(「育成就労」に変更された)「技能実習」で18万人、次いで「特定技能」が9万人で、「技能・人文知識・国際業務」(大卒程度の学歴や専門性が必要な就労ビザ)も9万人近くいます。このように、ベトナム人は、働くことを目的に来日するが多いことがわかります。外国人労働者では、ベトナム人は、中国人を抜いて1位なのです。

先月、ダナン(Da Nang)の飲食店で、「静岡の工場で3年、働いていた」というベトナム人青年にも出会いました。「日本語は5年間、話していない」ということで、カタコトで、英語も話せないので、詳しい話が聞けませんでした。(日本で稼いだお金で開店したのか聞きたかったのだが...)彼の作るタピオカ麺(Bánh Canh)は、おいしかったです。

 

日本で起業するベトナム人

 

ITを中心に日本に進出するベトナム企業も出てきており、在日ベトナム企業の団体も複数あるようです。外国企業の誘致を促す自治体の支援を受け、日本に進出してきているベトナム企業もありますね。

日本で起業するベトナム人も増えています。2021年には、ベトナム人起業家による企業が、初めて東証マザーズに上場しました。2016年の起業時に4人だった社員数は、今では500人を超えています。

在留ベトナム人が増えたことで、本格的ベトナム料理を出す店も増えましたね。私が大阪市内で行ったベトナム料理店のオーナーは、まだ32歳のハノイ出身の青年です。私は北ベトナム料理より南ベトナム料理の方が好きなので、「え、ハノイ出身?」と思ったのですが、「シェフは、ホーチミンで何人も面接して、厳選した中でベストな人を連れてきた。味には自信がある」とのことでした。

店舗は広くてきれいで、「開店資金は、どうしたの?」と聞くと、「親に借りた」とのことでした。実は、ベトナムでは、親からの資金で起業したという若者に、よく出会います。

 

今後も日本企業が進出

 

一方、ベトナムは、今年、ASEAN(東南アジア諸国連合)で、もっとも急速に経済が成長すると期待されており、現地に進出する日本企業は、以前にもまして増えています。

ジェトロが2023年11~12月に日本企業3000社以上を調査したところ、今後、事業拡大を図る国として、アメリカ(28%)に次いで多いのが、ベトナム(25%)でした(3位は23%の中国)。大企業に限ると、1位はインド(30%)で、ベトナム(29%)が2位でした(3位は26%のアメリカ)。

ベトナムの魅力として、「市場の規模・成長性」(77%)、「すでに自社の拠点がある」(32%)に次いで、「人件費の安さ、豊富な労働力」(28%)が挙げられました。これは、インド(20%)やインドネシア(15%)に比べても高い割合です。

「今後、調達先として注力・注目している国」としても、ベトナムが中国に次いで2位なのですが、ベトナムは、とくに非製造業で調達先として期待されています。

実は、先日、初めて大阪のスーパーで、ベトナム産のサバを見ました(輸入品のサバといえばノルウェーですよね)。東南アジアでは、ベトナム産の海産物をよく見るのですが、日本で見たのは初めてでした。そのスーパーは、ベトナムを含む東南アジアに多くの店舗を持っていますが、ベトナムでの調達に力を入れているようです。

このように、今後も、ベトナムは、市場としても調達先としても、日本企業との関係が深まるのは間違いなさそうです。

 

現地での日本語人材需要増

 

ということで、今後、ベトナムでの日本語人材の需要は、さらに高まりそうです。実際に、ベトナムでの日本人向け求人も増えています。Daijob.comで、ベトナム勤務の求人広告を見てみると、300件近くあり、マレーシアより多いです。以前に比べると、IT職が増えています。

マレーシアと違う点は、大した英語力が求められない点でしょう。英語に自信がない人は、ベトナムは一考の価値があるのではないでしょうか。

過去に、実際に日本で転職活動を行い、ベトナムでの就職に成功した人の例も紹介しています。
 ・キャリアデザインインタビュー(5)— 40手前でベトナムで就職

 

ビザ免除・電子ビザ再開

 

海外での就職を考えている人には、まず現地を訪れてみることをお勧めします。ベトナムでは、昨夏から、日本を含む13ヵ国からの観光客は、ビザ免除での滞在日数が15日から45日に延長されました。それ以上、滞在する場合のビザも、eビザとして再開されており、90日までの滞在が可能です。(デジタルノマドは、コロナかで発給が停止されていた、このビザの再開を待ち望んでいた。)

ベトナムへの海外からの観光客は、昨年、1260万人で、コロナ前のレベル(1800万人)に回復していません。

ベトナムがビザを免除している国は25ヵ国のみで、162ヵ国のマレーシアやシンガポール、68ヵ国の日本に比べても非常に少なく、アメリカやオーストラリアなど15ヵ国をビザ免除の対象にすることを検討しているようです。もっとも急速に伸びているのは、インドからの観光客だそうですが、確かに、今年、よく見かけました。(インドからの観光客が増えているのは、日本を含む他国も同じで、ベトナムに限らないが。)

昨年と違い、ダナンは観光客で溢れていましたが、コロナ前に比べ、ヨーロッパからの観光客が異様に増えたような気がします。コロナ前は中国からの観光客をよく見かけたのですが、最近、マレーシア、シンガポール、タイが、中国人観光客に対しビザ免除を開始したので、そちらに流れているのでしょうね。

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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