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専門的知識や技術のある外国人(高度人材)が日本で働くには?


得られる情報/高度人材として日本で働く条件について


日本で働くためには働くことが許される在留資格を取得する必要があります。それらのことをここでは「就労系在留資格」(しゅうろうけいざいりゅうしかく)と言います。就労系在留資格にはさまざまな種類があり、種類ごとに働くことが許される仕事の内容が異なります。今回は、特に企業で働く外国人に多い「技術・人文知識・国際業務」(ぎじゅつ・じんぶんちしき・こくさいぎょうむ)という在留資格にフォーカスして紹介します。

高度人材とは


高度人材(高度外国人材)の一例として、大学や日本の専門学校卒業等の学歴を背景に、高度な知識や語学力等を活かした仕事を行う、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人を指すことがあります。限定的に、在留資格「高度専門職」を持っている方のみを指すこともありますが、以下の図「在留資格の分布図」の赤枠で囲われた在留資格を持つ方もふくまれていたり、特に人数の多い「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている人を指すことが一般的に多くなってきました。(※図「在留外国人の構成比(在留資格別)を参照) 

在留資格の分布図




在留外国人の構成比(在留資格別)(2021年6月末)

高度人材が働ける仕事は?

 

ここでは、在留資格をもっている人の割合が特に多い「技術・人文知識・国際業務」(※略して「技人国(ぎじんこく)」)で就業可能な職種についてみていきます。「技人国」の在留資格は、自然科学または人文科学の分野に属する技術、または知識を必要とする業務に従事する外国人、または外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する外国人が、対象となります。端的に言えば「大学や日本の専門学校で学んだ知識を用いる仕事内容」であることになります。

 

◆具体的な職種の例(単なる例示であり、以下に含まれないものであっても<大学や日本の専門学校で学んだ知識を用いる仕事内容>であると出入国在留管理局が評価すれば許容されます)


〇技術

プログラマー、エンジニア(製造業・建築業などでの設計者・管理者・機械プログラマーなど)など


〇人文知識

営業、総務、財務、広報宣伝、マーケティング、企画、商品開発、コンサルティング、など


〇国際業務

通訳翻訳、海外取引、語学教師、デザイナー、など

 

◆「技人国」で働くときの注意点

 働ける年数に制限はありませんが、単純労働や現場での肉体労働を行うことは許されていません。しかし、日本のキャリア慣行に合わせて、他の大卒等の日本人社員に対しても同様に行う実務研修においてその内容に単純労働や現場での肉体労働が含まれている分には許容されます。もちろん実務研修期間を超えて単純労働や肉体労働に従事することはできません。

例:飲食チェーン店を経営する会社が、外国人を店舗開発職や商品企画開発職として採用し、同職種で採用した日本人と同程度の実務研修期間を設け、店舗にて店長や店長補佐として接客業務を含んだ業務に従事させる。

「技術・人文知識・国際業務」で在留資格を取得する条件


所在地が日本にある会社(営利法人だけでなく非営利法人も含む)(法人だけでなく個人事業主も含む)と業務を行う契約(雇用契約に限らない)を締結(ていけつ)することを前提として

1. 日本や海外の大学(短大、大学院含む)または日本の専門学校、またはそれと同等以上とされる学校(参考:「世界の学校体系」文科省)を卒業しているか?


→学歴がなくても実務経験が評価されて「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が取得できる場合もあります。要求される実務経験年数は業務内容に応じて3年または10年となっています。


2.大学または日本の専門学校で学んだ知識を活用できる業務内容か?


→専攻内容と業務内容との関連性について大学卒業者については応用的知識があるとして厳しく問われず、学問的知識を必要とする業務であれば幅広く従事することができる。


→専門学校が最終学歴の方について、従事できる業務内容は専門学校での専攻内容に拘束される。しかし、いつまでも拘束されるわけではなく「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を得て業務に従事してから3年を経ることで、大学卒業者と同等の取り扱いがされる。


3.通訳翻訳や語学の指導に関する業務を自由に行えるのは大学卒業者に限られる。ただし、専門学校が最終学歴の方については専門学校にて通訳翻訳や語学の指導に関する学問を専攻していた場合、専攻内容と関連性のあるものとして当該業務を行うことができる。


4.同種の業務に従事する日本人と同等以上の報酬を得る契約を締結しているか?


→同一業務同一賃金の徹底。入管の審査官は雇用主のウェブサイトやハローワークにて公表されている求人情報等も調査する。

 

➡「技人国」の在留資格申請をした業務と、違う業務を行う場合は?


以下のポイントを確認しましょう。


1.勤務先が同じなのか、変更するのかは、重要ではない。(技人国の場合、勤務先の変更は問題ないが、在留資格によっては勤務先の変更と在留資格の許可が一体化しているものもあるので注意)


2.新しい業務内容が、在留資格「技人国」で許される業務なのかどうか。


→もしも違うのであれば、他の在留資格に変更可能か、または資格外活動許可を得ることが可能な内容なのかを確認する。


3. 「技人国」で許される業務内容である場合、大学または日本の専門学校などで学んだ内容との関連性があるのか。


→本人が大学卒業の場合、大学で学んだことと業務内容との関連性は広く解釈されるため、別の業務を行うことが可能と判断されることが多い。


→本人が日本の専門学校卒業の場合、「技人国」業務に従事してから3年以内であれば、学校で学んだ内容との関連性は厳しく問われるが、「技人国」業務に従事してから3年を経過している場合、学んだ内容と業務内容との関連性は広く解釈されるため、別の業務に従事することが可能と判断されることが多い。

 

◆就労に関する在留資格のくわしいガイドライン「出入国在留管理庁」のサイト

「技術・人文知識・国際業務」で在留資格を取得するために必要な書類


海外から外国人従業員を呼び寄せる場合を例に「在留資格認定証明書交付申請」

▼申請書はこちらの出入国在留管理庁サイトからダウンロードできます。


▼添付書類のリストはこちらの出入国在留管理庁サイトに掲示されています。

なお、リストに表示されている添付書類を提出したからと言って在留資格が許可されるとは限りません。リストに表示されている添付書類は、申請が満足に「受理されるための必要最低限」のものであり、審査の結果、「許可を得るために十分な資料とは限りません」。許可を得るためには資料によって在留資格の要件を満たすことの十分な立証ができなければなりません。その手法は個別の事案によって異なります。

 

(Text/行政書士明るい総合法務事務所 代表 特定行政書士 長岡由剛)


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