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タカシの外資系物語

2011 採用面接にて・・・( その 2 )2011.07.05

タカシ vs A さん (その 1 )

前回の続き) 震災の影響で、大幅なスケジュール遅延となった今年の新卒採用面接。 2 名の最終面接を任されたタカシは、[行動事実](仮定や憶測ではなく、実際に行った“事実”のみに着目する)を重視する人事部の方針を理解した上で、いざ面接を始めたはみたものの・・・


コンコンっ(ノックの音)。 私 「どうぞ ! 」
学生Aさん 「失礼します・・・」


A さんは、○○大学のXXXXXXXXXXXXXXXXXXX学部(な、長っ ! 舌噛みそう ! )卒業見込。それにしても、なんちゅう長い学部名なんや・・・


私 「 A さんは・・・ XXXXXXXXXXXXXXXXXXX学部の所属ですか・・・ 不勉強で申し訳ないんですけど・・・ これって、どういう学問領域を指すんですかね ? 」
Aさん 「ハハハ ! やっぱりそう思いますよねぇ。どこの面接でも聞かれますよ ! 」
いきなり、“ハハハ ! ” 切り返したのにはぶったまげたのですが・・・ もしかしたら、 A さんって、ものすごい大物なのかも ? ワクワク !


A さん 「実際、なんて説明すればいいのかなぁ・・・ 言うなれば、既存の枠組みを超えた学問って、感じですかね」

 

(なんじゃ、そりゃ・・・ 全く説明になっとらんやないか ! よーし、ここは[行動事実]に沿って質問してみるか・・・) 


私 「実際に、Aさんは大学で、どんな研究をされているんですか ? 」
A さん 「国民の政治行動について研究しています。党首討論が、どの程度、投票に影響するか ? とか・・・」


(極めてわかりやすい研究やないかーーーーーーーっ ! どこが、“既存の枠組みを超え”とるんやーーーーーーーーーーーっ ! ハァハァハァ・・・)

タカシ vs Bさん (その1)

コンコンっ(ノックの音)。 私 「どうぞ ! 」

学生 B さん 「失礼いたしますっ ! 」


見るからに体育会系の B さん。高校、大学と、野球一辺倒で過ごしたとのこと。エントリーシートによると、「・・・クラブ活動においては、従来は精神論に傾きがちなトレーニングに“科学的管理手法”を取り入れ・・・、また、部員のモチベーションを向上させるために、応援に来てくれる学生を“顧客”としてとらえ・・・」 もしかして・・・、これって “もしドラ” そのものじゃないですか ! おそらく B くんは、“もしドラ”に話題を振って欲しいんでしょう。よーし、それならこっちも望むところ ! 本も読んだし、TV アニメも映画も見たし、もちろん、本家ドラッカーの『マネジメント』も読んだし・・・


私 「 B さんは・・・ 高校、大学と、野球部で活躍されたんですね。エントリーシートに “科学的管理手法”とありますが、具体的には、どのようなトレーニングをしたんですか ? 」
B さん 「はい、部員全員のバットスイングをビデオカメラに撮影して、弱点を話し合いながらトレーニングメニューを組み立てました ! 」
私 「へぇ、すごいな・・・ あと、応援に来てくれる学生を“顧客”としてとらえたって、あるけど・・・ これは ? 」
B さん 「アマチュアの活動とはいえ、応援に来てくれるみなさんに楽しんでもらわないと、意味がないと思うんです」
私 「ふむふむ」
B さん 「私のチームが主催の練習試合では、試合前に、メンバーから観客のみなさんへのメッセージを紹介するなど、エンターテイメント性を高める努力をしました」
私 「ふーーん、 B さんの活動を伺っていると、最近流行っている “もしドラ” を地で行っている印象なんだけど・・・ “もしドラ”、読みました ? (よし、狙い通り話を振ったぞ、 B さん ! )」
B さん 「それが・・・ 読んでないんですよね・・・」


(なんでやーーーーーーーーーっ ! ここまで話を展開してやった、わしの苦労は何やったんやーーーーーーーーーーーっ ! ハァハァハァハァハァハァ・・・)

“ひねり” を加えて、見抜く ?!

ちなみに、上記エピソードは、面接のごくごく一部分だけを切り取って書いていますので、これだけ読むと、とんでもない感じを受けるかもしれません。しかし実際には、 A さん・ B さんとも、いかにもイマドキのそつのない学生さんでした。しかし、だからこそ判断が難しい ! 「そつがない」というのは、「可もなく不可もない」とほぼ同義、つまり、個性がないってことなんですよね。

 

人事部がいうように、[行動事実]をいかに重視したとしても、エントリーシートに書いてある内容および面接者の発言内容は、優等生的・模範解答的な内容がほとんどですから、話の展開が見えてしまう( B くんが “もしドラ” を読んでいなかったのには、正直、度肝を抜かれましたが・・・)。予定調和のまま、シャンシャンで面接を終えてしまう傾向が強いんです。
言い方を変えると、採用面接そのものが “コモディティ(商品)化” しているとも言える。面接対策本やインターネットの対策サイトに掲載された “模範解答” が、エントリーシートや面接での回答を標準化させ、だれもが “均一商品” として採用マーケットに出回る。そうなると、結局のところ、最低限の常識的な応対はできるという前提のもと、大学の難易度や偏差値を基準に、採用を決めることになりはしないか・・・ この状況、個人的にものすごく危惧しています。


では、どうやって、学生さんの資質・潜在能力・やる気を見抜けばいいのでしょうか ? 定式的なやりとりはコモディティ化していて意味がない。となると、少し “ひねり” が必要となっています。私の場合、以下の 2 つを面接時に実施することで、“ひねり” を加えるようにしています。


(1)学生さんが全く予想していない質問をして、その反応を見る
(2)逆に、学生さんから面接者(上記の場合、私)に対する質問をしてもらい、そのときの反応を見る

 

つまり、標準化されたコモディティに対して、予定している回答・反応以外のアクションを引き出すことで、学生さんを見抜くというわけ。さて、私が A さん、 B さんに仕掛けた“ひねり”とは、いかなるものだったのか・・・ 続きは次週お話しましょう。
(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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