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タカシの外資系物語

2011 採用面接にて・・・( その 1 )2011.06.28

大幅に遅れた採用活動

先日のこと、HR(Human Resource:人事部)から、以下のようなタイトルのメールが来ました。

- Interview for 2012 New Graduates -


新卒の採用面接です。文面を見てみると、「今年は震災の影響もあり、例年に比べ、採用活動が大幅に遅れており・・・」。確かに・・・ 例年なら、遅くとも 3 月頃には面接依頼の案内が来ていたように記憶しています。
「・・・今回は、 2 名の面接をお願いします。パートナー(役員クラス)面接となりますので、原則、この結果をもって内定可否の判断をすることになります。面接の 1 時間前に、人事より段取りの説明をいたしますので、○月○日○○時に、本社応接に来てください・・・」
ということで、今回のコラムでは、本年度のわが社の採用面接についてお話したいと思います。

 

「おはようございます!」
指定の時間に本社応接に行くと、人事担当の H さんが待っていました。
「金融セクター・パートナーの奈良タカシさんですね。本日はお手数かけますが、よろしくお願いします」

 

私 「それにしても、今年の採用は大幅に遅れましたね。競合他社の動向はどうなんですか ? 」
人事 H さん 「それが・・・ 競合 A 社は例年通りのスケジュールで実施したため、既にかなりの内定が出ているようなんですよ・・・」

 

なんとねーーーーーーっ ! 今年は震災の影響を考慮して、業界上げて、スケジュールをズラしたんじゃなかったっとね・・・(なぜか、博多弁。最近、福岡で仕事をしているので・・・)。同じ業界にいるものとして、 A 社には節度というか、インテグリティというか、そういう観点で行動して欲しかったですね。ま、わが社がお人好しすぎるのかもしれませんが・・・


人事 H さん 「なので、面接者の過半は A 社の内定を持って、本日の面接を受けに来ていると思われます・・・」

 

うーーむ、こりゃ難しいですよね。わが社とA社は、業界ではそれなりのライバルと目されている関係。 A 社から内定をもらったにもかかわらず、わが社の面接を受けに来たということは、本命はわが社と言えなくもないし、はてまた、単なる冷やかしかもしれないし・・・


人事 H さん 「面接では、わが社への志望度合についても確認してみてください」

[行動事実] を重視せよ !

 

続いて H さんから、今年の新卒採用におけるポリシー、および面談手法について説明がありました。

人事 H さん 「今年の新卒採用は、[行動事実] を重視したコンピテンシー評価で行います。」

 

H さんによると、採用面接における応募者は、自分が過去に行った[行動事実]、なぜそうしたかという[論拠]、そして、その行動がいかに妥当だったか、またそれが仕事上どう生きるかという[主張] の 3 点を話します。しかし、[論拠] [主張] については、応募者自身がいかようにも設定できるため、面接中に確認したい内容に踏み込めないことが多々ある。特に、学生さんの場合、その傾向が強い。よって、応募者には[行動事実]だけを話してもらい、面接者側で[論拠]を提示した上で、それについて、応募者の[主張]を聞こう・・・ というアプローチ方法のようです(あくまでも、私の解釈ですが・・・ ま、それほど本質と乖離してはいないでしょう)。


応募者にしてみれば、事前に自ら準備していた [行動事実] → [論拠] → [主張] という流れではなく、[行動事実] しか話せない、かつ、その[論拠]は面接者が勝手に設定してくるわけですから、かなり面食らうことになるはず。人事としては、その際の反応(切り返し方)も見たいようです。


あと、“コンピテンシー” というのは、「その人が持っている能力(潜在的なものも含む)」程度の意味でしょうか。人事の世界ではよく使われるようですが、横文字にしたところで、何か特殊な意味があるようには、私には思えません(日本語でええやんけ ! )。


人事 H さん 「・・・以上が、面談の段取りです。何か、ご質問は?」
私 「え ? 説明それだけ ? 質問事項の例文とか、そんなのないの ? 」
人事 H さん 「そんなのありませんよ ! パートナーなんですから、それぐらい、自分で考えてください !! 」
・・・なんで、わしが怒られにゃならんねん・・・(T-T)

もう“頬杖”はつかない ?!

人事 H さん 「あ、 1 つ言い忘れたことが。どのような結果になろうとも、応募者は、われわれにとって“未来のクライアント”であることを忘れずに。くれぐれも、不適切な態度を取らないようにお願いします。」

 

私 「(んなこと、当たり前やんけ・・・)“不適切な態度”って、例えば ? 」
人事 H さん 「頬杖をついたり、腕組みをしたり・・・ 事後のアンケートからも、そのような態度は、極めて悪い印象を抱かれる可能性が高いです・・・」

 

確かに ! 頬杖は問題外だとしても、腕組みも印象悪いですよね。これは、採用面接にかかわらず、通常の商談においても言えることだと思います。

 

人事 H さん 「では、 10 分後に面談を開始します。こちらが応募者のエントリーシート等、各種情報です。」

 

私 「もうちょっと、早めに見せてくれればいいのに・・・ ブツブツ・・・」
人事 H さん 「情報管理には万全を期していますから !! それに、タカシさんはパートナーなんだから、直前 10 分で目を通せば OK でしょ !!! 」


・・・今日は、怒られっぱなしかい・・・(T-T)(T-T)


「ま、いいや・・・ さて、最初の学生さんのエントリーシートは、と・・・ ん ? こ、これは・・・ ! 」

 

コンコンっ(ノックの音)。 私 「どうぞ ! 」
学生さん 「失礼します・・・」


次回のコラムでは、私が面接した学生さん 2 名を通して、イマドキの就活について考えてみたいと思います。
(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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