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タカシの外資系物語

“謎”は解けたか ? - 外資が新開発を得意とする理由 -( その 1 )2011.06.14

日本が誇る “ウォークマン” ですら・・・

みなさん、実は私、以前から気になっていた “謎” がありまして・・・。 最近、その “謎” を解明するヒントを思いついたのです ! 今回のコラムでは、そのことについてお話したいと思います。


「そもそも、“謎” って、何やねん ? 何の話か、さっぱりわからんわーー!(怒)」 そりゃそうですね。ちょっと長くなりますが、我慢して聞いてください。
まず、外資系企業、特にアメリカ企業というのは、画期的な新商品・新サービスを開発するのがうまい、と言われています。これに対して、日本企業は新開発が下手だが、物マネはうまい、と言われている・・・。なんだか、ステレオタイプの典型みたいな見方なのですが、一方で、それなりに当たっていると思うんですよね、この考えって。


例えば、「日本はウォークマンを開発したにもかかわらず、どうして iPod を開発できなかったか ? 」という議論があります。ウォークマンという画期的な新商品を開発できる技術力・発想力があれば、 iPod を開発することなどたやすかっただろうに・・・ さてこの議論、そう考えてしまうと、おかしなことになりませんかね ? そもそも、ウォークマンと iPod を同じ土俵に乗せていいものか ? 両者を“携帯可能な音楽端末”として見れば、延長線にあると見られなくもないでしょう。しかし、両者では、端末の「向こう側」が全く違うのです。ウォークマンはカセットテープのみ、それ以上の発展なし。一方、 iPod は電話( iPhone )にもなるし、 iTunes というインタフェースを使って、音楽やアプリを購入することができる。クラウド環境に自分のデータを保管することもできる。


「技術の発展が、 iPod に有利に働いた」といえなくもないのですが、やはりウォークマンと iPod はかなり違う。ウォークマンは既存のラジカセをコンパクトにしたもの、つまり「改善」にすぎない。 iPod は自分のお気に入りデータの全てを外部に持ち出すことを可能にしたもの、こちらは「革新(イノベーション)」なんだと思うのです。


話を戻しましょう。この半世紀を見渡してみて、日本が世界に誇れるキラーコンテンツの中で、ウォークマンはかなりの上位に来るはずです。そのウォークマンですら、「改善」の域を出ていないわけですから、やっぱり日本人は、革新的な開発能力がアメリカに比べると弱い・・・というのは、それなりに確からしい事実ではないかと思うのです。

本当に、自由に発想できる文化なのか ?

 

ということで、「1.アメリカ人(企業)は、画期的な新商品・新サービスを開発するのがうまい」という仮説を、ひとまず置くとしましょう。では次に、なぜそうなのか、その理由を考えてみます。
よくある回答は、「2.アメリカ人(企業)には、自由に発想することを “良し” とする文化が根付いている」から、というもの。シリコンバレーの文化なんてまさにそうだと言われます。しかし、本当にそうなのでしょうか?
私が知っている外資系企業(私が勤務した2社も含め)の共通点は、自由に発想できる文化なんて二の次で、とにかく「3.ボス(上司)には絶対服従」です。ボスの方を向いて、ボスの言う通りに動く、ただそれだけ。


一方、日本では、部下が理不尽なボスに反抗する構図がよく描かれます。


理不尽なボス 「今月も目標未達成とは・・・ なんだ、このザマは ! 売り上げ○○円を達成するまで、全員、土日なしで働くこと ! 」


熱血漢の部下 「ちょっと待ってください、ボス ! この週末はAさんのお子さんの運動会なんです。 A さんだけじゃなく、みんな、週末に家族と過ごすことを楽しみに働いているんだ・・・ 休日をとるのは、社員の権利のはずでしょ ?! 」


理不尽なボス 「そんなの知ったこっちゃない。ノルマを達成しない君たちが悪いんだろーがっ ! 」

 

熱血漢の部下 「う、ううぬぅ・・・ わかりました、 A さんのノルマ、私が肩代わりします。その代わり、 A さんにはお休みをーーーっ ! 」


理不尽なボス 「な、なんて献身的な態度・・・(T-T)す、すまん、熱血漢くん。私が間違っていたようだ・・・ 許してくれ・・・おーいおい(T-T)(T-T)(T-T)」


熱血漢の部下 「いいんですよ、ボス・・・ さぁ、仕事、仕事 ! よーし、今日も頑張るぞーー ! 」
(※労働基準法を無視したパワハラ的な発言がありますが、それは無視してください)

 

ま、上記はデフォルメを利かせすぎだとしても、日本企業には、これを是とするような文化がある。しかし ! これは外資系企業には一切当てはまりません。外資では、何がなんでも、ボスに「絶対服従」なんです。上記のダイアログでいえば、熱血漢の「ちょっと待ってください、ボス ! 」と言った時点で、


理不尽なボス 「うるへー、You’re Fired ! (お前、クビ ! )」


と言われて終わりです。実際、そのような場面に何度も出くわしたことがありますし、事実、“Fired ! ” と言い渡されたやつを、それ以来見ていないし・・・。くわばら、くわばら・・・

タカシが抱く“謎”とは ?

さて、私が抱いている“謎”とは、何か ? それは、

 

・アメリカ人(企業で)は、「3.ボス(上司)には絶対服従」なので、
・「2.自由に発想する」時間なんて、ないはずである。にもかかわらず、
・「1.アメリカ人(企業)は、画期的な新商品・新サービスを開発するのがうまい」のは、なぜだろう ???

ということ。


あれだけボスにギリギリと締め付けられているにもかかわらず、自由に物事を発想するなんてできっこない ! 絶対、無理無理 ! というのが、私の意見。この事実、というか仮説は、長らく私の最大の“謎”として君臨していたのですが、最近、ふとしたことから、それを解き明かすヒントを得ることができたのです。あれは、つい 1 週間前のこと・・・

 

「よし、これで何とかなりそうだ ! ふーーっ、それにしても疲れたにゃ・・・(T-T)」
時計の針は、午前 4 時を回っています。結局、徹夜か・・・(T-T)(T-T)


私が徹夜した理由、それは、専務(アメリカ人)のある一言から始まりました。その日、私は上司の Peter と一緒に、当四半期の部門収益見通しについて、専務に報告をしていました。


私 「・・・というわけで、この四半期の収益は、前年同期比マイナス○% となる見込みです・・・」


専務 「 I did reject your report ! (そんなレポート、聞きたくないな ! )」


私 「は、はぁ・・・(T-T) んなこと言ったって、これが事実なんだし・・・ ブツブツ・・・」


専務 「そもそも、減益を招いた理由は何なんだ ? 」


エグゼクティブに理由を聞かれたとき、複数ある場合は、主だった 3 つに絞ってコメントするのが、外資の定石です。


私 「 1 つ目の理由は、リーマンショックの不況から、まだ立ち直っていないこと。クライアント各社とも IT 投資を極端に抑えています。 2 つ目は、言うまでもなく、先日の東日本大震災の影響。そして、 3 つ目は、競合先の△△コンサルティングが、大きく伸びてきたということです・・・」


専務 「 1 つ目と 2 つ目は、理由じゃない ! どこの会社だって、そうじゃないか !! 」


私 「は、はぁ・・・(T-T)」


専務 「 3 つ目が気になるな・・・ 一体どうして、△△コンサルティングがそんなにも伸びているんだ ? 」


私 「価格を下げたんですよ、これまでに比べて、10 – 20 % ほど。最近、△△コンサルティングは徹底した低価格路線を打ち出していて、コンペになった際、わが社は相当苦戦を強いられています・・・」


専務 「ふーーむ・・・、で、どうするんだ ? 」


私 「は ? 」


専務 「手をこまねいて、見てるのか ? 」

 

こういう場合、間髪いれず、次にように答えます。


私 「至急、対△△コンサルティング戦略を練り直しますので、 1 週間後に、再度時間をください ! 」


・・・というわけで、 1 週間かけて、対△△コンサルティング戦略を立案したというわけ。本業の合間を縫って、数日徹夜した力作。実は、ちょっと自信あり ! 


「専務、どんなコメントくれるかな ? 楽しみ、楽しみ・・・」


私が楽観視するときって、ろくな結果になりゃしない・・・ 今回も例外ではないようで・・・ 続きは次回のお楽しみ。
(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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