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タカシの外資系物語

日中伊パパ友 3 人、白昼のバトルトーク ?! ( その 2 )2011.04.19

タカシ、いきなりビビリまくり ?!

前回の続き) 娘が入園することになった幼稚園は、外国人の父兄が多く、国際色豊か。英語での入園式が終わってホッとしていたのも束の間、ママ友からパパ連中も交えたランチのお誘いがありました。ということで、イタリア人・中国人のパパと同席することになったタカシ。さて、どんな話題で盛り上がったのでしょうか・・・ ?


「How about beer ? 」 or 「ビール、飲みます ? 」 ・・・ 第一声、どちらを使うか迷った挙句、思わず後者を口走った私。これにより、テーブルでの会話は、日本語で進められることになりました(かなり恣意的に仕向けたという説もあり・・・)。


今思うと、なぜ「How about beer ? 」と言えなかったのか・・・。実は、かなり後悔しています。 2 人のパパには悪いのですが、私にとっては、絶好の “英会話レッスン” の機会を逸してしまったわけですからね。みなさんも、同様の機会があれば、臆せずに英語でチャレンジされることを強くお勧めします。


ここで今一度、テーブルを囲むことになった、パパ連中のプロファイルを確認しておきましょう。


●イタリア人パパ(以下、伊パパ) = 某大学教授(理系の研究所勤務)。ママ日本人。イタリア語(native)・英語(ほぼnative)・日本語(かなりfluent)
●中国人パパ(以下、中パパ) = 医師、アメリカの大学に通っていたらしい。ママ中国人。中国語(native)、日本語(ほぼnative)、英語(かなりfluent)
●日本人パパ=私(以下、私) = 外資系コンサルタント。ママ日本人。日本語(native)、関西弁(native)、英語(気合で話す系)


伊パパ・中パパに比べ、私の身長が 20 cm 程度低いという話は前回のコラムでお話しましたが、見た目だけでなく、職業という観点でも、正直ビビッていた私。しかし、ここで怖気づいていたのでは話になりません。娘や妻の手前もありますし。少なくとも、日本語は私が一番うまいし、日本のことも私が一番知っているはず ! (当たり前ですが) 自信を持って話をしなければ !


外国人とコミュニケーションをする上で、上記に述べた「踏ん切り」は非常に重要です。外国人の同僚と話をしていると、「どうして多くの日本人は、英語ができないことについて、あんなに自分を卑下するのか ? そんなの当たり前なのに・・・ こっちは、英語の間違いを指摘するために会話しているわけじゃないんだから、もっと積極的に、自信を持って接して欲しい・・・」 というコメントをもらうことがよくあります。世界広しといえど、日本人ほど、びくびくしながら英語(外国語)を話す民族は珍しいとのこと。確かに、この指摘は当たっているかもしれませんね。

日本政府の秘密主義 ?!

会話は、やはり今回の震災の話から始まりました。

 

私 「 3 月 11 日当日は、どうされていましたか ? 私は帰宅できずに、会社に泊まりました・・・」
中パパ 「私は車で往診に出ていたのですが、帰りは停電で信号が消えてしまって、ヒヤヒヤしながら運転しました」
伊パパ 「みなさん、大変でしたね・・・ 当日は、私の研究所も大混乱でした。でも、それ以降の方が、もっと混乱しています・・・」
私 「と、いうと ? 」
伊パパ 「外国人の研究者の大半が、母国に帰ってしまったんです。こんな状況では、研究プロジェクトが進められない・・・」


伊パパの研究所では、同僚の外国人が、震災の翌週あたりから母国に帰り始めているとのこと。それも、帰路は成田ではなく、関空から・・・。少しでも原発の影響が少ないと思われる経路を選んでいるようです。


伊パパ 「私は個人の意思を尊重するので、母国に帰る人に文句を言うつもりはありません。でも、サイエンスを専攻する人間として、現状の “フクシマ” の状況を、もっと冷静かつ客観的に見ることはできなかったのか ? 多くの同僚が、あまりにも短絡的に帰国の途についたことに、私はショックを受けています・・・。それに加えて、政府の対応が、外国人の帰国ラッシュに拍車をかけました・・・」


私 「政府の対応 ? 」
伊パパ 「外国人に対する説明が少なすぎるのです。複数の言語でアナウンスしてくれとは言わない。せめて英語だけで構わないから、もっと情報を公開してほしい。今のままでは、政府は何か良くないことを隠しているとしか思えないのです ! 」


中パパ 「中国人のコミュニティでも、日本人の秘密主義に対しては不満が多いです ! 」
私 「それは、日本語でも同じですよ。日本人であるわれわれも、よくわからないのです・・・」
伊パパ・中パパ 「そのような状況で、よく我慢できますね ! 信じられない ! 」

伊パパ、ふさぎこみ、その後復活 ?!

伊パパ・中パパの言い分は、よくわかります。非常時や緊急事態において、日本人は秩序だった行動をとることができる。だれも、わがままを言わない。これは、日本人の大きな美徳です。しかし一方で、やるべきことをやっていない人、必要最低限の機能を果たしていないものに対してまで寛容になって、言うべき文句も言わないようになってしまう傾向も強い。


伊パパが指摘している政府の対応もしかり。政府は正確な情報を国民に伝える義務があるはずです。しかし、できていない。これについては、国民ひとりひとりが、もっと声を上げてもいいはずです。幸いにも大きな被害を受けなかった国民は、被災地でのボランティアに加えて、政府に対する改善要求を積極的に行うべきなのです。明らかにミクロとマクロのバランスを欠いている。このあたりが、外国から見ると、奇異に映るようです。


あと、伊パパから、こんなエピソードを聞いて、さらに愕然。伊パパは、イタリアのローカル新聞に「日本便り」(『riporti dal Giappone』というタイトルのようです。英語でいえば、「report from Japan」 という意味ですね)というコラムを寄稿しているらしく、震災後、こんな記事を編集部に送ったそうです。


「日本で起こった地震・津波、それに伴う原発事故は、依然として予断を許さない状況であるが、東京においては、平常の生活に戻りつつあり、国民も落ち着きを取り戻し始めている・・・」


この記事に対して、編集部から来たコメントは、「Non dica una bugia ! (嘘をつけ ! )」 だったとのこと・・・


伊パパ 「今、ヨーロッパでは、『日本は大丈夫!』というだけで、嘘つき扱いされる。大丈夫なわけない!と、みんな思っている。私が日本からお金をもらって、無理やり問題のない記事を書いていると思っている人間もいる・・・ クレイジーだ ! 」


・・・確かにクレイジーですね。しかし、情報発信をしていない日本にも、その責任は間違いなくある。逆の立場に立ってみて、もし私が日本に派遣されている外国人だったとしたら、伊パパの同僚と同じ行動をとらないとは言い切れない・・・


非常に重要な問題とはいえ、休日のランチに話すには、少し重い内容になってしまいました。伊パパも黙り込んでいます。「こりゃ、まずいな・・・」 中パパと私は、話題を切り替えるよう、目で合図をしました。


ちなみに、異文化コミュニケーションにおいて、ボディ・ランゲージがかなり “使える” って、知ってました ? もちろん、全てのしぐさが同じ意味を示しているわけではありませんが、私の経験でいうと、下手な言葉よりも通じるケースが多い。また、ボディ・ランゲージで通じ合うと、親密感が出て、友達になりやすいというメリットもありますので、みなさんもお試しを。


さて、伊パパを盛り上げるために、中パパが発した言葉は何か ? 
中パパ 「イタリアでは、サッカーをやっていたんですか ? 」
伊パパ 「サッカー ? 当然じゃないかーーーーーーーーーーーーーっ ! 」

・・・伊パパ、復活してくれたのはいいのですが、話題がサッカーに移った途端、話す話す・・・。それからの 20 分間、テーブルは伊パパの独演会と化してしまいました。次回のコラムは、独演会が終わったあたりから再開することにいたしましょう。

(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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