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タカシの外資系物語

タカシの “最新ヘッドハンティング事情” (その 1 )2011.01.11

タカシに届いた “仰々しい” 手紙

先日、私あてに、以下のような “お手紙” (郵便)が届きました。
住所は会社あて、表には「親展」、封筒の封じ目には「緘」の文字・・・
「こりゃまた、えらい大げさな手紙だなぁ、どれどれ・・・」


(以下文面)

拝啓
突然のお手紙をお許しください。
私は、××エージェントの○○と申します。
△△(都内某所地名)にありますヘッドハンティング会社の者です。弊社は日本最大規模のヘッドハンティングファームとして、企業からのご依頼により日々優秀な人材のスカウト活動を行っております ・・・ ・・・


この度、某金融系システムソリューション企業のご依頼により、奈良タカシ様を同社の役員候補としてお迎えしたいという意向のもと、ご連絡をさせていただいております
・・・ ・・・


ヘッドハンターからの手紙でした。実は、封筒を見た段階で、薄々わかってはいたんですけどね。それにしても、大胆というか、正面切ってというか、こんな感じの“お手紙”をもらうのは初めての経験です。「えっ? これまでにも、何度かヘッドハンターとのやり取りをコラムに書いていたのでは・・・?」 その通り。ヘッドハンターからのお手紙は、今回が初めてではありません。では、何が初めてなのか? それは、「具体的な企業が私を指名してきた」という点です。


ヘッドハンティングには、大きく分けて「登録型」 と 「サーチ型」の 2 種類存在します。「登録型」は、ヘッドハントされたい人が自ら人材バンクに登録し、そこから人材会社の人が声をかけるタイプです。どちらかというと、若手を対象にしており、一度に大量の採用を計画している企業には、使い勝手がいい仕組みです。 
一方、「サーチ(search)型」は、企業からの依頼を受けて、それに見合う人材をヘッドハンターが探してくるタイプです。こちらは、エグゼクティブを中心とした上位層の採用手段として活用されるケースが多いようです。

「サーチ型」ヘッドハンティングの種類

細かく言うと、「サーチ(search)型」にも、2 種類存在します。1つは、企業から「これこれ、こういうスペック(仕様:経歴、経験、能力など)の人を探してほしいんだけど・・・」という依頼を受けるタイプ。一般に、ヘッドハンターというのは、その豊富な人脈や情報網を通じて、自分なりの「人材名簿」を持っています。この場合、企業から依頼を受けたヘッドハンターは、自分の「人材名簿」からスペックに合致した複数名をピックアップし、企業に紹介するというわけです。依頼を受けてから探す(search)ので、「サーチ型」というわけです(以降、「通常サーチ型」と呼ぶ)。


それともう 1 種類。企業から、「ズバリ、○○さんをスカウトしてほしい!」と、具体的な個人名を名指しで指名されるタイプもあります。いわゆる、“一本釣り” というやつです。社長や役員などの採用には、このタイプがよく使われるようです(以降、「一本釣りサーチ型」と呼ぶ)。 
私はこれまで 2 回の転職を経験しており、いずれもヘッドハンターに仲介をお願いしました。28 歳のとき、銀行員から前職の外資コンサルに移った際は、「登録型」でした。前職の外資コンサルが、金融分野のリスク管理に詳しい人材を大量採用していた時期で、その流れに乗った形です。

 

2 回目の転職は、35 歳のとき。現在所属している外資コンサルに移ったときは、「通常サーチ型」でした。現在の会社が、金融機関に対する IT コンサルタントを探しており、私がそのニーズに合致したというわけです。現在の外資コンサルに転職してからも、いくつかのお話をもらいましたが、いずれも、ほとんどの場合は、「通常サーチ型」だったように思います。当然、採用されるランクが高い順に 「一本釣りサーチ型」 「通常サーチ型」 「登録型」 となる傾向にあります。


さて、話を戻しましょう。 “お手紙” は、文面から判断すると、「一本釣りサーチ型」のようです。私が「初めての経験」と言ったのは、まさにこの点でして、とうとう私にも「一本釣りサーチ型」のヘッドハンティングが来たか・・・ と、少し感慨深くなっていたというわけ。実際には、「通常サーチ型」の依頼にもかかわらず、対象者のプライドを “くすぐる” 目的で、ヘッドハンターが「一本釣りサーチ型」を装っているケースもあるやに聞きます。ま、どっちでもいいんです。それなりに気分がいいことに変わりありませんので・・・

ヘッドハンティング、最近の特徴は?

それにしても、ここ半年ほど、「一本釣り」「通常」問わず、ヘッドハンターからのアプローチ回数が増えてきたように思います。その理由の 1 つは、私がパートナーに昇進したことによるものでしょう。実際には、パートナーになったからといって、私の経験値やスキルが急に上がるものではないのですが、ヘッドハンターの立場に立ってみると、企業に紹介した際の “見栄え” がいいのは確かです。結局のところ、実力よりも肩書きがモノをいうのは、どの業界でも同じでしょうからね。

 

そのこと以上に、景気が回復基調にあることも、ヘッドハンターが活発になってきた理由としては大きいかもしれません。人材紹介業ほど、景気の波に左右される業界はないようで、知り合いのヘッドハンターも、リーマンショック直後にはほとんど商売にならない状況が続いたと言っていました。では、今回の景気回復は、人材紹介業の復活となりえるのか? 知り合いのヘッドハンター A 氏いわく、「それは違う!」とのこと。では、何が違うのか?


ヘッドハンター A 氏 「本当に景気がいいときには、新規事業分野などで、新規のポストに適した人材を探す案件が多いんだけど・・・」
私 「今回は違うの?」
ヘッドハンター A 氏 「うん。ここ数ヶ月の案件は、既存事業の責任者の代替を探すケースがほとんどなんだ。つまり、今いる役員の “クビ” を挿げ替えるってわけ。何とも、お寒い話だけど、仕事が出てきただけでも、景気に薄光が指してきたといえるのかな・・・」


ま、確かにお寒い話ではあります。つまり、パイが広がっているわけではなく、限られたパイを限られた人数で取り合っているだけのこと。私もいつ、逆に立場になるか・・・、全く、安穏とはしていられません。


そして、この「前任者の“クビ”挿げ替え採用」ってのが、非常にスリリングでなんですよね、これが。実は、転職には至らなかったんですが、私にも経験がありまして・・・ ということで、 次回のコラムでは、“クビ”挿げ替え採用を含め、私が経験したいくつかのヘッドハンティング面接についてお話したいと思います。お楽しみに!
(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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