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タカシの外資系物語

「社内英語公用語化」 について (その 1 )2010.09.14

日本語禁止!英語のみ!

まずは、懐かしい思い出話を1つ。学生時代、私は “ESS” という英会話のサークルに入っていました。当時(なんと、二十歳前! 当たり前ですが・・・)の私は、将来に関して、それほど明確な目標があったわけではなく、「どんな職業に就くにせよ、英語はできた方がいいんだろうな・・・」と漠然と考えていました(結果論ですが、現在、外資系企業で英語を頻繁に使って仕事をしているわけですから、その考えは当たっていたわけですが・・・)。


ESSでは年に3回(GW=新入生歓迎、夏季、冬季)、合宿を行っており、ディベートやスピーチ・英語劇などに取り組みながら、英語力をブラッシュアップしていました。まぁ、学生のサークル活動ですから、合宿最終日のバーベキューや宴会が最大の楽しみであったわけですけど・・・。

 

さて、そんなESSの合宿なのですが、実は 1 つだけ “過酷なルール” があったのです。それは、「合宿所に着いた瞬間から最終日の宴会の直前まで、英語のみでコミュニケーションする!」ということでした。


「日本語禁止!英語のみ!」 言葉で言うと簡単なんのですが、実際にやってみると、これがかなり大変なのです。例えば、こんな感じ・・・


私 「いやぁ、今日は本当に暑いな・・・」
メンバー 「そうだね、こりゃたまらん・・・」
部長 「よーーし、準備はいいかな? じゃ、最終日まで英語だけで会話してください。日本語禁止だよ、Let’s start !」


スィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン (沈黙・・・)


私 「・・・ (何を話せばいいんじゃ!) ・・・mmm・・・ ahhh・・・, Is it very hot, today ? 」
メンバーA 「yeah, very hot !」
メンバーB 「very hot !」
メンバーC 「hot, hot !」


Hot星人か、わしらは! そもそも、“ Is it very hot, today ? ”って、あんた・・・ 文法がしっかりしすぎてて、かえって気持ち悪いわーーーっ!

私 「・・・ (うーーむ、会話が極端にぎこちないぞ。しかも、この重苦しい雰囲気・・・ 何とかしなければ・・・) ・・・ ah・・・, What is your favorite food ? 」
メンバーA 「Oh, Sushi !」
英語の教科書かーーーーーーーーーーーーーーーっ! なんで今さら、Aの好物を尋ねにゃならんのやーーーーーーーーーーーーーーーっ! (T-T)(T-T)(T-T)

英語公用語化に向かう日本企業

<p>最近、日本の大手企業において、「社内の英語公用語化」への移行方針が相次いで発表されています。6 月に楽天と「ユニクロ」のファーストリテイリングが発表したのを皮切りに、9 月になると大手の金融機関でも同様の動きが出てきました。ということで、今回のコラムでは、「社内の英語公用語化」のについて考えてみたいと思います。


まず、私の見解をお話しておくと、私個人としては「社内の英語公用語化」に大賛成です。英語がグローバルの標準言語であることは揺るぎない事実ですし、企業活動がグローバル化した昨今においては、英語を公用語として用いるのは当然の流れ。楽天やファーストリテイリングの決断には拍手を送りたいと思います。


私が勤めている会社は、「社内文書はほとんど英語、外国人が参加している会議は英語、日本人のみの会議は日本語」と、かなり中途半端な運用をしており、いわば英語は “半・公用語” の位置づけに留まっています。しかし、そんな運用であっても、メリットは大きい。一番のメリットは、世界中が同じ言語とフォーマットを活用することで、効率的・効果的なコミュニケーションができるということでしょう。もちろん、優秀な人材を集めやすいという、直接的な効果も見逃せません。


一方で、反対意見も多数あるのも理解できます。「英語公用語化なんて、所詮、夢物語。絵に描いた餅だよ・・・」 果たしてそうなのでしょうか? 必要な対策を打っていないから、うまくいかないだけなのではないでしょうかね?

英語の達人は、全体の何%必要か?

 

さて、冒頭の話(ESS合宿)に戻りましょう。これなどは典型的な失敗例です。この事例がうまくいかなかった最大の理由は、「参加者の英語レベルが低すぎる」ということ。英語が丸っきりできない人間を集めて、「日本語禁止!英語のみ!」と言ってみたところで、結果が上記のようになることは明らかでしょう。


実際、私が所属していたESSサークルは総勢 30 名程度で、英語の達人(ネイティブクラス)が3名程度、いるにはいました。この 3 名が会話に入っていると、英語で話題をリードしてくれたり、文法の間違いを指摘してくれたりと、うまく回るのです。しかし、全体の 10% ではあまりにも少なすぎる!願わくは、全体の 30% 程度は達人、残りもそれなりのレベルになければ、英語のみで過ごすというのは難しいように思います。


企業の場合なら、「30% 程度のネイティブレベル人材」を確保した上で、「社員全員がTOEIC730 点以上」といった前提がなければ、「社内の英語公用語化」はスムーズに進まないのではないでしょうか。


では、英語のできる人材が揃えば、「社内の英語公用語化」は進むのかというと、それは違います。「社員全員がある程度英語ができる」というのは必要条件なのであって、公用語化を実現する十分条件ではない。では、他にどんな条件があればいいのでしょうか ?


次回のコラムでは、「社内の英語公用語化」を実現するための条件 と そのメリット・デメリットの詳細をお話したいと思います。
(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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