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タカシの外資系物語

マレーシア研修顛末記 ( その1 )2010.06.15

東南アジアの思い出

「ふぁーーあぁ・・・ 眠いなぁ・・・ 休日の朝早くから、なんでこんな目に遭わなきゃならんのだ・・・ ブツブツ・・・」
日曜日の朝6時。私は横浜駅の構内で、成田エキスプレスを待っています。行き先は、マレーシアのクアラルンプール。先週のこと、上司の Thomas 指示で、わが社で毎年実施されている「 Global Consultant Meeting 」という会合(というか、研修。もっと言うと、かなり遊びに近い・・・)に、いきなり派遣されることになりました。最近、厳しいプロジェクトを立て続けにこなしていたので、少しは骨休みでもしろ・・・ と配慮してくれたのでしょうかね。 ということで、今回から複数回にわたって、当研修の模様をお伝えしたいと思います。


実は私、マレーシアに行くのは初めてです。15 年以上前、銀行員時代に 3 週間ほどシンガポールに出張した際に、休日にマレーシアまで足を延ばす計画があった(コキタナバルでスキューバ・ダイビング ! )のですが、仕事が忙しく、結局行けず仕舞い(T-T)。仕方がないので、腹いせ(?)に、そのときはシンガポール国内の「ナイト・サファリ」に行きました。
子供のころから、動物園が大好きな私(今も、2歳の娘と毎週のように行っています)。それも、ほぼ自然に近い形で、野生動物の生態を見ることができるとあって、私は非常に興奮していました。


インストラクター 「ようこそ、ナイト・サファリへ ! みなさんを魅惑のジャングル探検にお連れしましょう !  ライオン・トラ・象・フラミンゴ・・・ さて、いくつ出会えるでしょうか ?! 」
私 「(ライオンやトラが生で見られるんだ、すげぇな・・・ ワクワク・・・(^-^))」
インストラクター 「では、しゅっぱぁーーつ ! 」
・・・・・・
インストラクター 「あれ ? おかしいなぁ・・・ どうしたんだろう・・・ ?」
ナイト・サファリ内をバスが出発して、はや 30 分。ライオンはおろか、ネズミもいません・・・
インストラクター 「今日は、動物たちが集団でピクニックにでも出かけたのかな ? ・・・なんてねー、ハハハ・・・」

泣き出す子供も出てきたりして、車内の不満は頂点に達していました。と、そのとき !!!


インストラクター 「Hey, you ! Elephaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaant・・・ (み、みなさん、あそこを見て! あれは、まさしく、ぞ、象ーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!)」
乗客 「ええっ ?! 」
インストラクター 「Shit !(・・・の糞 ! )」
ドテーーーーーーーーーっ ! まさか異国の地で、吉本新喜劇のようなリアクションをする羽目になろうとは・・・ 糞って、あんた・・・ トホホ・・・(T-T)

ダイバーシティは・・・ 寒い?

バカ話はさておいて、私は今回の海外研修において、個人的にあるテーマを課しました。それは「ダイバーシティ(diversity)」、つまり「多様性の許容」ということです。グローバル化が進展する昨今、人種や国籍、性別といった差異は、ほとんど意味がありません。お互いがお互いを尊重し、いかにして最高のパフォーマンスを上げるか、これが企業の雌雄を決すると言っても過言ではないわけです。
しかし日本に閉じこもっていると、どうしても閉鎖的な視野しか持てなくなる。これは、私が所属する外資系企業でも同じです。できることなら、定期的に海外に行って、多様な文化に触れ、それを受け入れてみる・・・ 今回の研修は、まさにうってつけの機会と言えそうです。


「ダイバーシティ、ダイバーシティ・・・」 私はそうつぶやきながら、飛行機の座席に着きました。飛行機は、マレーシア航空のエコノミー。私の席は窓際で、隣はマレーシア人の男性でした。私より先に座席に到着した彼は、私が奥に入れなくなるため、着席するのを立って待ってくれていました。なんという、ホスピタリティ !
私 「Thank you, Thank you, very much ! (あ、ありがとう ! )」
隣のマレーシア人男性 「No Problem ! (いいよ、気にしないで ! )」
 他人に対する思いやりは万国共通 ! これぞ、ダイバーシティの醍醐味ではありませんか ! 私は感動に打ちひしがれながら、機内で読もうと楽しみにしていた文庫本を読み始めました。隣の男性は、毛布をかぶって、いきなり眠り始めています。
「さぞかし、疲れてるんだろうな・・・ 言葉の通じない日本で、大変だったんだろう・・・ うんうん・・・ (ゾクッ ! ) ん? なんか、すんごい寒いんだけど・・・」
急に右頭上から冷気が ! 


見ると、彼の座席の頭上についている空調の「バルブ」が、全開にされたまま、思いっきり私の方を向いています。
「さては、あまりに眠くて、思わずこっちに向けちゃったんだな・・・ いいよ、いいよ・・・」
私は眠っている彼を起こさないように、そーーっと、彼の頭上の空調バルブを閉めました。


「よし、本でも読むかな、と・・・ (ゾクッ ! ) う、寒っ ! 」
今度は前方から冷気が ! 見ると、前の座席に座っている中国人カップルの空調バルブが、 2 つとも私を直撃しています。
「(こ、こりゃたまらん・・・) す、すいません・・・ 頭上のバルブを閉めるか、向きを変えてもらえませんでしょうかねぇ・・・」
ギロッ ! 私の英語が通じなかったのか、その中国人カップルは私を思いっきりにらんだまま、何もしてくれません。
「ハハハ・・・ ま、いいや。毛布かぶってれば、何とかなるし・・・ そのうち止めてくれるだろう・・・ (ゾクッ ! ) さ、寒っ ! 」
見ると、隣の隣の席のバルブが全開で、私を直撃しているではありませんか !!
「な、何でやーーーーーーーーっ ! こんな“ダイバーシティ”許容できるかぁーーーーーーーーーーーーっ ! ハァハァハァ・・・(T-T)」

ダイバーシティは・・・ 怖い ?

ハ、ハ、ハックション ! 約 7 時間のフライトを経て、マレーシアの首都クアラルンプールに着いた私。空調の“集中砲火”のおかげで、すっかり風邪をひいてしまいました。

「熱帯地方で風邪ひくと、なかなか治んないんだよなぁ・・・ ハックション ! 」


クアラルンプール国際空港は郊外にあるため、私は市内のホテルまでタクシーで移動することにしました。本来なら公共交通機関を使って、その国の文化を堪能したいところなのですが、明日からの研修に備え、大事をとることにしたのです。
「・・・to XXX Hotel, please! (XXXホテルまでお願いします)」
「Yes, sir !(かしこまりました ! )」


ふーーっ、ひとまずこれで安心だ・・・ お、いきなり高速道路か・・・ ここ数年、マレーシアも経済発展したからねぇ・・・ やっぱり、国が発展するためには、こういう社会的インフラが不可欠だよね・・・ うーーん、それにしても、この運転手さん、飛ばすよねぇ・・・  ま、日本でも、飛ばす人いるからね・・・ と、それにしても、飛ばしすぎ・・・ グングン抜いていくし! あーーーっ、怖いわーーーーーーーーっ(T-T)(T-T)
スピードメーターを見ると、120ぐらい出ています。日本と違って、多分「マイル表示」なので、換算すると・・・ 時速190kmぐらい ! 


私 「(こ、ここは何とかせねば・・・ よ、よし、話しかけよう。話をすれば、スピードも落ちるだろう・・・) あ、あのさぁ・・・ もうすぐサッカーのワールドカップだよね ? マレーシアでは、サッカーは人気あるのかなぁ・・・ ? 」
運転手 「・・・」
無視かぁーーーーーーーーーー !(T-T) 


※ あとからタイ人の同僚に確認したのですが、マレーシアもタイも、国内にサッカーリーグがあって、その人気は日本以上なのだそうです。熱狂的なファンの間では、自国代表がワールドカップに出れないことを苦々しく思っている人が多く、この話題は「ご法度」とのこと。


むしろ、さっきよりスピード出とるやないかぁーー !(T-T)(T-T)  た、助けてーーーーーーーーっ(T-T)(T-T)(T-T)
(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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